適応障害で休職状態になった話とその手続きの話

適応障害。代表的な精神疾患の一つである。

最近、芸能人も自身の適応障害を公表することが多く、多くの人にその存在が知られ始めている。

 

私も、このメンタル疾患に罹った人間の一人である。

現在の状況としては、紆余曲折経たのちに加療・休養期間となっている。(なぜ「休職中」と書かないのかは後に説明する)

 

適応障害に罹患した原因と経緯

適応障害」という診断がつくことになった経緯を説明するには、話は1年半以上も前に遡る。

 

配属〜プロジェクトアサイン前

数年前、大手外資系企業に新卒入社。期待に胸を膨らませていたが、配属ガチャに失敗した。

全く興味の持てなかった領域への単独配属。毎日教育係から厳しいマンツーマン指導を受け、年次が近い人もいないなか一人で抱え込んでいた。

指導自体はありがたくはあったが、何もモチベが上がらないままに仕事をこなす日々に疲れ、睡眠障害涙が止まらない症状が出始めた。

これが最初の異変だった。

異変に気づいた時点で、精神科に通い始めた。

まあ最初は睡眠薬をもらったり、いわゆる「抗うつ薬」を1ヶ月ほど処方され、経過観察する程度だった。しかし、医者は、ある日突然抗うつ薬を出さなくなった。そしてその日以降、ずっと警告していた。「環境を変えない限りは改善されませんよ」と。

自身がうつ病であると勘違いしていた私は、「自分はうつ病を持ったままちゃんと働けることを証明しないといけない、休んではいけない」と思い込み、医者からの警告を無視し続けていたのだ。

 

プロジェクトアサイ

騙し騙し業務を続け1年、ついに、私のメンタルをどん底まで突き落とした直接のきっかけとなるプロジェクトにアサインされた。

このプロジェクトにおいて要加療・休養に至った理由はシンプルである。

仕事環境がガチヤバだったからである。

考えられる原因としては、だいたい以下の通り。

 

  • 経験年次と、プロジェクト内における責任の重さが比例していないこと

 ↑かなり大規模なプロジェクトにおいて、プロジェクト初心者(当時2年目)の私が何故か小さなチームのリーダー兼ただ1人のメンバーとなり、孤独に作業をしていた。責任も裁量も重すぎた。

  • 人員不足による一人あたりの作業量の多さ

 ↑いや、正確には、人はいる。そこそこできる人の負荷だけが高い状態だった。あのスキルない人たちは何をしに来ていたんだろうか。

  • 求められる成果物(設計書など)の"異常なまでに"神経質なチェック

 ↑これは私にも改善点はあるにせよ、あまりに厳しく、かつ理不尽だった。エクセルでドキュメントを書かされているような超レガシーな環境だった。

※ちなみにエクセルってあくまで「表計算ソフト」であって、ドキュメント執筆ツールじゃないってみんな知ってるよね? 端末や環境によって文字の見え方や体裁が変わるなんておかしいだろ……。「私のPCから閲覧すると文字切れがあるので修正してください」みたいなのも知らんがなオブザイヤーでしかなかった。

  • 人材の多様性のなさ

 ↑弊社のプロジェクト参画者のうち、若手も女性も片手で数えられるレベルしかいなかった。20代に至ってはなんと私を含めて2人。女性は私を含めて3-4人くらい? ちなみに、弊社側の人数は100を優に超えるのにも関わらず、である。クライアントは、とりあえず会った事ある人はおじさんしかいなかった。現内閣バリのおじさんパラダイス。

  • 人間関係の悪さ

 ↑とにかく殺伐とした雰囲気だった。メールや会議での口調も非常にキツく、常に喧嘩腰の受け応えをする人が結構いた。議論ではなくレスバのような話し方の人が多かったのは本当にキツかった。おじさんにとってはこれが普通かもしれないが、最若手かつ途中からこの魔境に放り込まれた私にとってはだいぶ堪えた。

 

 

まあ、ネットでよく見るような、テンプレなダメダメ職場環境である。

毎日8時間×週5日をこの環境で過ごし、この仕事に加え別の業務も並行して行なっていた時期もあったりして、日々精神をすり減らしていった。

 

そして、ある日曜の深夜3時、ギンギンに冴えた頭を落ち着かせるべくして規定量のマックスまで安定剤と睡眠薬を飲み、気付いたら未遂していた。

未遂した理由は特になく、「死ぬ以外ないから死ぬんだ」みたいな思考になっていたからだった。

 

このあとの自分の行動は本当に褒め称えたいのだが、翌日すぐに病院にかかり、即日診断書発行、ドクターストップによる休養の流れになった。

出張やらなんやら喫緊の仕事もたくさんあったが、全部一旦放棄する自由が与えられたのだ。

 

しかし、地獄はこれで終わりではなかった。

 

休職の手続き面倒すぎ問題

休職するにあたって、社内の手続きが非常に面倒なのである。

 

まず、休職するための具体的な手続きを記載したガイドがすぐに手に入らないこと。

就業規定には、「社員には、私傷病により一定の条件のもと休職する権利がある。」としか書いておらず、詳細な手順が記載されているわけではないのだ。自力で人事に問い合わせないと辿り着けないようになっていた。

 

次に、休職申請から申請受理、復職までの手続きが煩雑かつ非常に多くの時間を要すること。

中でもメンタル疾患による休職の手順は特に複雑で、休職届が受理されるまで、そして復職が実現するまでにそれぞれ必要な書類を提出し、そしてそれぞれに1週間以上の承認期間を有する。

だから、ここのバッファーを考えた上での休養日数を医者と相談して多めに取る必要がある。

 

私の場合は約4週間の休養が必要との判断だったため、確実に必要な休養期間と会社の制度を照らし合わせて考えると以下の通りにやるしかなかった。

 

  1. 最初に2週間ほどの有給休暇を取得
  2. 有給休暇の期間中に、休職手続き書を人事に提出(約2ヶ月休職する旨記載)
    • かかりつけ医に必要な休職日数を書いてもらいにいく
  3. 休職終了予定日の約2週間前までに休職延長手続き書 or 復職手続き書を人事に提出
    • 休職終了予定日の1週間前までに、休職延長 or 復職のいずれかが決定している必要があるため、これくらい早めに動く必要がある
    • こちらも、かかりつけ医に書いてもらいにいく
  4. 休職終了予定日1週間前、弊社産業医と面談
    • 休職延長する場合も、復職する場合も、面談は必須。
  • 休職延長する場合:上記と同じく休職終了予定日2週間前に書類記載→1週間前に面談の流れが必要
  • 復職する場合:復職後約1〜3ヶ月は休職中として処理される
    • もちろん「復職」するので、仕事は振られる。しかし「メンタル疾患復職者の一定期間残業禁止」という規定により、この期間はフルで仕事していることにならない
      • 残業が当たり前すぎる文化圏なので、残業しない=時短労働の扱いとなり、書類上も休職のままとなる。でも仕事はしている状態。バカか?

以上が私の調査したところである。

 

こんなん、自殺未遂後の人間にやらせることじゃないだろ…と素直に思った。しかしいち平社員としては、一定の給与補償のためには自力でなんとかやるしかない。

今現在、休職申請のための書類を揃えている段階であるため、厳密には休職中ではなく、「有給休暇」なのである。ちなみに、弊社では有給休暇を"Vacation"と呼称している。この状態のどこがVacationなのか説明して欲しい。

 

上記の制度を医者に説明した時、呆れ顔で「復職のことは考えないでください、今はとにかく休養してください」と諭された。医者の立場からすれば当然そう忠告するだろうと理解はできる。しかし、制度が休ませてくれるようになっていないんだ……。

休職前にも復職前にも必要なことが多すぎて、どうにも今後のことを考えると全然休まらないのだ。

 

 

そういえば、診断書が出たことを上司に報告したとき、開口一番「4週間の休養なら、有給休暇で足りますよね?」と言われた。

なぜこんな血も涙もないことを言うのかわからなかったのだが、上司としては「有り余っている有給を消化して事足りるなら手間も省けて良いじゃないか。」という心情だったのだろう。

 

しかし、個人的には、有給休暇扱いというのはいささか事勿れ主義が過ぎると感じる。

私に休養が必要となった理由は明らかに職場が原因であり、それを「あの社員は"Vacation"でしばらく抜けます」と周りに説明されるのはあまりにも会社にとって都合が良過ぎる判断だ。

診断書も出ている深刻な状況であることをアピールし、劣悪な環境から脱し、そしてあわよくばもう少し私が興味の持てる業務を行なっている部署への異動に漕ぎ着ける可能性を作るためにも、有給休暇ではなくきちんと休職として処理することを選んだのである。

 

終わりに

 

今、今後のめどが何も立っていない。

休職中でもないし、何故かプロジェクト先からはまだメールが届くし、上司から「休養中もメールで連絡取るのでメールボックス見ててください」と言われている始末だ。

だが、私は今日まで頑張りすぎた。

必要最低限のことはやった。もうこれ以上頑張る気はない。というか、頑張れない。

 


www.youtube.com

 

今後のことは、休職期間を経てから決めようと思っている。

実は、この期間を利用して転職活動をしよう思い立ち、エージェントに登録する等の行動を起こしたのだが、精神が参っているときにするものではないと気付いた。

私はとりあえず一旦全てのエンジンを切って、しばらく何もしない期間を作るべきなのだろう。

今後のことは、それからでも遅くないと信じたい。

 

 

これを読んでくれた人に忠告したいのは、こうなる前にペースダウンしたり、逃げたり、休んだりする勇気を持ってほしい。

一度完全に活動が止まってしまってから再びエンジンを入れ直して動き出す、なんてのは全く効率的ではない。

 

全力は滅多に出さず、7~8割くらいの力で動くこと。そして自分の状態に常に気を配り、自分ファーストで動くこと。

 

ひたむきに前だけ見て全速疾走した挙句にズデンと大転倒する人よりも、軽いジョグ程度で周りの景色を楽しんだり自分の状態を見つつ走っている人の方が結果的にはスムーズに事が進むものだと思う。

 

再度強調したいのは、

こんな状態になるまで頑張るな、頑張らせるな

ということだ。

 

 

ちなみに、休養中の私の今日の予定は、Juice=JuiceのMVをリリース順に見ること、溜まった洗濯物を一気に畳むこと、だいぶ穏やかになってきた西日で日光浴をすること。

これくらい出来れば上等だろう。

こういう日を積み重ねることに罪悪感を覚えることがなくなれば、社会復帰への道も開けてくるはずだと思っている。


www.youtube.com